【地元発!協働の力】三原市立第二中学校の生徒が商品開発に挑戦!
―― 地域企業との連携で一次産業の未来を拓く ――
三原市佐木島でアスパラガスを栽培する373.farmは、
三原市立第二中学校と連携し、総合学習の一環として生徒たちが
地元の一次産業に触れ、規格外野菜を活用した商品開発に挑戦する、
地域と教育が一体となった独自のプロジェクトです。

地域の食と学びを繋ぐ軌跡 ~生徒たちの挑戦~
① はじまりは体験活動の中止
2024年8月、373.farmの農場見学および職場体験で、
三原市立第二中学校の生徒20名をお招きする予定でした。
しかし、台風10号の接近により、
残念ながら中止となってしまいました…。
後日、担当の先生から
「生徒たち、とても楽しみにしていたのに…残念っ!」
という声とともに
事前にハウスに見学にきた先生が
撮った写真を生徒に見せたところ、
「こんな風にアスパラが育っているんだ!」
と感心する声が多く寄せられたそうです。
校長先生のお話によると、
なかなか「農業」に親しむ機会がない生徒が多い中で、
今回の職場体験は
「農業」に焦点を当てていただいたとのことでした。
① -2 373.farmの課題を共有、「規格外製品」の活用を検討
計画がこのまま進められないのは本当に残念でなりません…。
そこで「何か生徒たちに協力してもらえることはないだろうか?」と考えていたところ、
先生との会話の中で、
373.farmの課題でもある「規格外製品」(いわゆるB級品)の
活用について話題が上がりました。
その後、先生から
「総合的な学習の時間の授業で、あすぱら373のB級品を使った
商品開発を生徒たちにさせていただけないでしょうか?」と
ご提案をいただきました。
職場体験の代わりに
形を変えて「373.farmについて」の出前授業と
規格外製品を使った「商品開発」を行うことになりました。

② 出前授業へ
2年生、3クラス総勢120名の生徒に対して、「373.farm」について出前授業を行いました。
授業では、高齢化率70%の佐木島で、なぜ「佐木島楽園計画」にチャレンジしているのか?
という私たちの想いや、佐木島のじい・ばあの暮らしについてお話させていただきました。
*画像はプレゼン資料
その後、グループワークでは「あすぱらの良いところ、悪いところ」についてブレインストーミングを実施。

③ 生徒たちから出てきた「商品開発のアイデア」のプレゼン大会
次に、規格外製品のあすぱらを使った「新商品」を考えてもらいました。
その結果、数々のアイデアが生まれ、プレゼン大会を開催しました。
📝 各クラスの投票結果はこちら!
1組
🥇 アスパラカップラーメン
🥈 三原のすばる(ふりかけ)
🥉 アスパラフレンズ
2組
🥇 アスパラマリネ・アスパラパン(同率1位)
🥉 佐木パラスムージー
3組
🥇 アスパラソルト
🥈 サクパラ
🥉 アスパラクリーム煮
生徒たちの柔軟な発想に驚かされる一日でした。

④ まずはアスパラを食べてみよう (調理実習:アスパラガスのクリーム煮)
授業や行事で、なかなか商品開発が進められない日々の中、
まずはみんなでアスパラを食べてみることに。
特別支援学級の2年生の生徒さんたちが、
投票結果の中から「アスパラガスのクリーム煮」を
調理実習で行いました。
実際に作ってみることで、
食材の魅力や調理の工夫について学ぶ良い機会になりました。


⑤ 三島食品様とあすぱらのコラボレーションが実現!
生徒たちの商品開発のアイデアを形にしたいという強い想いから、
次に注目されたのが、広島の企業である三島食品株式会社とのコラボレーションによる「アスパラふりかけ」でした。
「ダメ元で」と打診したところ、三島食品が快諾。商品開発を協力していただけることになりました!
しかし、アスパラガスの乾燥には多くの課題が立ちはだかりました。
三島食品の研究所では、アスパラの甘みと美しい緑色を保つための乾燥方法について、温度や切り方、保存方法など、幾度となく試行錯誤を重ねてくださいました。
⑤ -2 「アスパラふりかけ」実現までの道のり
最終的な打ち合わせでは、これまでの経験を踏まえ、塩漬けにしたアスパラを冷凍し、緑の部分が多い細めのアスパラを使用することで乾燥が決定。これと並行して、ラベルデザインのサイズや、「ゆかり®」を使った実験の内容などを詰めていきました。
こうして、困難を乗り越え、ついにアスパラのふりかけ化の目途が立ち、今回の出前授業の実現に繋がることになりました。


⑤ -3 「食育」と「科学」を学ぶ三島食品様の出前授業へ
2025年7月10日、三島食品の「ゆかり®」を使った食育授業が行われました。
食品のpHによる色の変化を学ぶなど、理科の知識と地元食材を結びつけた横断的な学びを実施いたしました。
また、生徒たちは、アスパラのふりかけを使ったオリジナルふりかけ作りに挑戦し、最後は三原食品の職員より、残食への意識付けの話を聞く機会も設けていただきました。


B品活用の方法をこれからも模索していきます!

今回の出前授業を通して、第二中学校の生徒さんたちからたくさんのコメントが届きました。
生徒さんの感想
・ゆかりを卵に入れたら色が変わることがわかった。他の物だとどうなるか気になる。
・実際に食品でも実験ができて、色も変わることがわかり、家でもやってみようと思いました。
・私はチーズが緑色になると思っていましたが、卵でまさかの変色したのが白身だけで驚きました。
■ふりかけ作りの感想
・アスパラのふりかけを作ってみて、ふりかけを自分で作る経験がないから、いい体験になったなと思いました。
・色の組み合わせ、味の組み合わせ、とても考えることが多くて、今販売されているふりかけは、とても試行錯誤してできた美味しいものなんだなと思いました。これから自分は好き嫌いせずに作ってくれた人へ感謝の気持ちをこめて食べたいです。
・決まった量を入れないといけなくて、味だけじゃなく見た目のバランスなども考えていかないといけないということがわかった。
■ふりかけを実際に食べてみての感想
・鰹節が結構多かったけど、アスパラと合ってて、とても美味しかったです!!
・アスパラは乾燥していても甘みを感じれたし、他のわかめや、かつおとも合っていて美味しかったです。
・お茶漬けで食べたのですが、いろんな味が感じられ、あったかいので心もほっとなりました。冬はちょうどいいと思います。
とても幸せなひとときでした。
実際に商品化するには、塩蔵アスパラを冷凍貯蔵できる施設がないという課題があるため、現在は保留となっています。
しかし、生徒さんたちの力を借りて、多くの可能性を発見することができました。
「美味しい!」という声や、授業にキラキラと取り組む真剣な姿勢に私たちもパワーをもらいました。
これからも、373.farmではB品活用の方法を模索し続けてまいります!
